Japan should continue support of IP

日本はWHOの目標推進のため知的財産権のサポートを続けるべき

2月初旬、日本および33の国々の健康に関する専門家らが集まり146回世界保健機関(WHO)執行理事会が開催されます。世界の健康に関する問題を主導する各国の主な意思決定機関の代表者らが、ワクチン、食品安全から母体、新生児、小児の栄養まで、幅広い議題について話し合います。日本は世界の健康と発展に関するリーダーとして、執行理事会に対し大きな影響力を持っており、他国は日本の意見に注意深く耳を傾けてくれます。

今年の執行理事会では、WHO公衆衛生、技術革新及び知財に関する世界戦略及び行動計画(Global Strategy and Plan of Action on Public Health, Innovation and Intellectual Property(GSPOA)を再検討します。何年も交渉を続け2008年に全会一致で承認されたGSPOAは、開発途上国に、より大きく影響を与える疾病の新療法や治療法の発見を促進する方針を設定しようとする国々を支援する枠組みです。GSPOAでは、知的財産権(IP)保護の重要性を「医薬品開発の重要なインセンティブ」として極めて重要であると認識しています。

しかし残念ながら、先進国、開発途上国の双方にとってイノベーションを阻害するような問題でGSPOAに再注目が集まる出来事がありました。医療のイノベーションをサポートするIP保護を強化するというよりむしろ、新発見に対する特許破り(特許の強制実施権といわれる過激な行動)によって、政府に対し保護を弱めるよう促すグループがあったのです。けれども、知的財産権の保護は患者が新しい技術にアクセスするのを妨げるという誤った概念に対しては、数々の研究により異議を唱え続け他の多くの人たちに保護促進の妨げになるということを指摘しています。

これまで日本は、バイオ医療の研究開発と同様に知的財産権の価値を高く評価してきており、「研究開発の促進は医療システムの強化と世界的な健康の浸透の実現にとって重要な要素である。」と認識してきました。特に堅調なバイオ技術部門ではイノベーションを重視してきました。例えば最新のデータによると2017年だけで日本は1,683件のバイオ技術関連の特許を出願しています。それを上回るのは米国とEUだけです。さらに最近の数字では、医薬品産業の研究開発に1年間で130億米ドルが投資されています。この莫大な額のおかげもあり、日本は、世界知的所有権機関の2019年世界イノベーション指標においてイノベーションクオリティで世界のトップ3にランク入りしました。

20202月のWHO執行理事会は、日本にとって国際舞台で知的財産権の重要性を強調し、差し迫った世界的な健康の課題に対する真の解決策を見つけるためのまたとない機会です。

また、最近の国際会議での声明でもイノベーションのサポートを繰り返し伝えています。

  • 5月に開催されたWHO総会では、日本は、医薬品への世界的なアクセスを確保するため、「企業や研究機関に投資や知的財産権の保護といったインセンティブを与え特にR&Dを促進する事が必要」としてイノベーションにインセンティブを与えることの重要性を訴えました。
  • 同会議期間中、日本代表団はさらに「我々は、理事国およびステークホルダーとして、R&Dを促進する方法を考える必要があります。一方でR&Dのコストについても配慮が必要です」と述べ、「非感染性疾患、結核、マラリアの医薬品のR&Dを促進する目的で」設立されたグローバルヘルス技術振興基金について取り上げ、最近日本がイノベーションを促進するための公約を掲げていることを示しました。
  • 秋には、2019WIPO総会で世界的なイノベーションの促進と保護を引き続き主張しました。書面による声明で、日本は「IPシステムの促進は開発途上国における自立した経済発展の実現につながると同時に世界経済の発展にも貢献すると強く信じている」と断言し、IPの重要性を強調しました。

20202月のWHO執行理事会は、日本にとって国際舞台で知的財産権の重要性を強調し、差し迫った世界的な健康の課題に対する真の解決策を見つけるためのまたとない機会です。

例えば、日本は、知的財産権を含むよりよいインセンティブの利用について真剣な話し合いを促し、開発途上国に影響を及ぼす疾病に関する研究開発をさらに促進することができます。また、日本はあらゆる発展段階にある国々が、安全で手ごろな価格の医薬品に世界のどこでもアクセスできるような強力な医療システムを有することの必要性を強調することもできます。

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